少しだけ化学の話になってしまいますが、石鹸というのは脂肪酸という弱酸性と、水酸化ナトリウム(固形石鹸の場合)という強アルカリ性を示す2つを反応させて作ります。弱酸と強アルカリですから両方で弱アルカリになり、弱アルカリは石鹸である証でもあるので、中性や酸性の石鹸というのはありません。
ところで生活上最も身近な酸性と言えば酢で、レモンもそうです。
石鹸が酸に出会ったとき、どうなるか知っておくとなかなか便利です。
石鹸水に酢を入れてみればすぐにわかりますが、ベタベタした油が表面に浮いてきます。これは石鹸の素になる脂肪酸で、石鹸は酸に出会うと、石鹸を作るのとは逆の反応で脂肪酸に戻ってしまう性質を持っています。
どうしてこのような例を出すかというと、石鹸が酸に出会って能力を発揮できないのは日常的に起こり得るからです!
例えば石鹸や石鹸シャンプーで髪を洗い、手触りが悪いからと、よく石鹸を流さずに弱酸性のリンスを使うと、脂肪酸ができてベト付いた髪のできあがりです。
酸味のあるドレッシングで汚れたお皿を、台所用石鹸で洗うと脂肪酸ができて、洗ったはずなのにかえってベタベタします。また、汗は弱酸性なので、石鹸で洗濯をすると若干は黒ずみや黄ばみの原因になります。
これらは石鹸の持つ特性と考え、うまく付き合っていくことが必要です。石鹸が本来持つ洗浄力は高いですが、酸と出会ってしまうと石鹸では無くなってしまうので洗浄力が落ちるばかりか、脂肪酸という厄介な物質が邪魔をします。つまり、石鹸は酸に出会わないように使うのが賢い使い方ということですね。